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そば・和牛・日本海の幸

食文化

国替えとともに但馬に来たそば職人、松阪牛・神戸牛の源流である但馬牛、そして城崎の海が育む豊かな魚介。豊岡の食卓には、歴史と地理が濃く反映されています。

殿様が連れてきたそば

出石皿そばの歴史

出石の名物「出石皿そば」の起源は、宝永3年(1706年)にさかのぼります。信濃国上田藩から 但馬国出石藩へ国替えとなった仙石政明が、信州のそば職人を連れて赴任したことが、出石にそば文化が 根付くきっかけになったと伝えられています。

現在のような「皿に盛って提供する」スタイルが確立したのは、実は比較的新しいことです。幕末頃、 屋台でそばを提供する際に持ち運びしやすい手塩皿に盛ったことが皿そばのはじまりとされ、 現在のような形――小さな皿に一口大のそばを盛り、通常5皿程度を一人前として提供するスタイル――が 定着したのは昭和30年代(1955〜1964年頃)のことといわれています。

2008年には出石皿そば協同組合が設立され、豊岡市産そば粉の地産地消を推進。2018年には 「出石皿そば」が商標登録され、地域ブランドとしての保護が図られています。

和牛のルーツ

但馬牛と、神戸牛・松阪牛への系譜

「ブランド和牛のルーツは但馬にあり」とよく言われます。但馬地方は険しい山あいに囲まれ、 古くから他地域との牛の行き来が少なかったため、独自の血統を持つ牛(但馬牛)が純粋な系統として 維持されてきました。この閉鎖的な地理条件こそが、良質な素牛が長く保存された理由とされています。

現在、全国に名高い神戸牛や松阪牛の多くは、素牛として但馬牛の血統を受け継いでいます。 すなわち、いわゆるブランド和牛の多くが、系譜をたどれば但馬にたどり着くという構図です。 地元・豊岡市周辺で育てられ、出荷される牛肉は「但馬牛」としてそのまま販売されることもあり、 サシ(霜降り)のきめ細かさと上品な旨味で高く評価されています。

温泉街の膳

城崎温泉と、日本海の幸

城崎温泉は、日本海に注ぐ円山川の河口近くに位置し、津居山漁港をはじめとする漁港が近いことから、 新鮮な海の幸に恵まれています。特に冬場の松葉ガニ(ズワイガニ)は但馬地方を代表する味覚で、 城崎・豊岡の旅館では蟹料理を目当てに訪れる観光客も多く見られます。

外湯めぐりで湯冷めしないよう工夫された宿の会席料理では、地元の山海の幸をふんだんに使った 献立が供され、但馬牛のすき焼きやしゃぶしゃぶ、日本海の魚介と並んで、出石そばや但馬の地酒も 合わせて楽しむことができます。

食が語る、土地の成り立ち
出石そばが「国替えの記憶」、但馬牛が「山に閉ざされた地理の記憶」、城崎の海の幸が「日本海に 面した地形の記憶」だとすれば、豊岡の食文化そのものが、この土地の歴史と地理を映す鏡といえます。

駆け足で辿る

豊岡の食文化 年表

1706

仙石政明の国替えで信州そばが伝来

出石そばの起源と伝えられる、そば職人の同行。

幕末頃

屋台での「皿盛り」がはじまる

持ち運びやすい手塩皿にそばを盛る提供方法が生まれる。

昭和30年代

現在の「出石皿そば」の形式が確立

小皿に盛った一人前5皿前後というスタイルが定着する。

2008

出石皿そば協同組合 設立

地元産そば粉の地産地消などを推進する体制が整う。

2018

「出石皿そば」商標登録

地域ブランドとしての保護が確立される。

写真で見る

豊岡の食卓

五皿に盛られた出石皿そばと徳利型の器
出石皿そば出石町内のそば店
高原の牧草地で放牧される但馬牛の群れ
放牧される但馬牛豊岡市内の高原牧場
城崎の旅館で供される松葉ガニ料理
松葉ガニ料理城崎温泉