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演劇のまちづくり
廃校になった県の会議施設が、世界から演劇人を呼び込むアーティスト・イン・レジデンスに生まれ変わった。城崎国際アートセンターと豊岡演劇祭が、人口減少に直面する温泉町にもたらした変化を追います。
廃校から劇場へ
城崎温泉の一角、湯島公園にある城崎国際アートセンター(KIAC)は、2014年にオープンした 舞台芸術に特化したアーティスト・イン・レジデンス施設です。かつて県立の大会議館として使われていた 建物を改修し、大ホールと6つのスタジオ、22名が宿泊できるレジデンス機能を備える施設として 生まれ変わりました。
滞在アーティストは年1回の公募によって選ばれ、最短3日間から3か月間まで滞在が可能です。 選考されたアーティストには宿泊費やホール・スタジオの使用料が無料になるなどの支援が提供され、 国内外の演劇・ダンスのカンパニーが作品の創作拠点として利用しています。芸術監督には劇作家・ 演出家の平田オリザ氏が2015年に就任し、以後、豊岡の「演劇のまちづくり」を牽引する存在と なっています。
平田オリザという触媒
平田オリザ氏は劇団「青年団」を主宰する劇作家・演出家で、「現代口語演劇」と呼ばれる演劇理論の 提唱者としても知られます。城崎国際アートセンターの芸術監督就任を機に豊岡市との関わりを深め、 2021年には江原河畔劇場(豊岡市日高町)を拠点とする劇団の活動や、専門職大学「芸術文化観光専門 職大学」の開学にも携わるなど、行政・教育・芸術を横断する形で豊岡の文化政策に関わり続けています。 構想段階では「城崎温泉大学院大学」のような、演劇・芸術を軸にした高等教育機関の議論もあり、 その延長線上に専門職大学の開学があると位置づけられています。
人口減少に直面する地方都市が、観光でも工業誘致でもなく「演劇」を核としたまちづくりを掲げた 事例として、豊岡の取り組みは全国的にも注目を集めています。
まちを舞台に
豊岡市では、城崎国際アートセンターでの創作活動と連動する形で、豊岡演劇祭が開催されています。 城崎温泉や豊岡市街地の劇場・公共空間を会場に、国内外の劇団・アーティストが作品を上演し、 演劇祭の期間中は温泉町全体が舞台芸術の発表の場となります。地域住民の参加やボランティア スタッフの運営への関与も特徴で、観光とアートを結びつける新しい地域イベントのモデルケースとして 語られることが多いイベントです。
こうした取り組みは、旅館経営者や商店主など地域の担い手を巻き込みながら進められてきた点が 特徴とされ、「演劇のまちづくり」というキーワードのもとで、行政・芸術家・住民が協働する 仕組みづくりが続けられています。
駆け足で辿る
旧県立大会議館を改修し、舞台芸術特化のレジデンス施設として開設。
劇団青年団を主宰する劇作家・演出家が、施設の運営方針を主導する立場に。
城崎温泉・豊岡市街地を舞台に、国内外の劇団が集う演劇祭が定着していく。
豊岡市に演劇・芸術・観光を横断的に学べる専門職大学が開学。
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